Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
本研究の目的は、哺乳類大脳の発生過程において前駆細胞から生じる多様な細胞の運命はどのようにして決定されるのか、その分子機構を、単一細胞レベルで遺伝子発現を比較するという手法を用いて明らかにすることにある。昨年度までに、胎生14日目のマウス大脳原基から無作為に取り出した単一細胞から、単一細胞由来cDNAを作製した。それぞれに対し、DNAマイクロアレイ(GeneChip)を用いて遺伝子発現解析を行い、計70個の細胞のゲノム・ワイドな遺伝子発現プロファイルを作製することができた。今年度は得られたデータの解析と、前駆細胞種に得意的な遺伝子の生体内での発現パターンの解析をさらに進め、(1)胎生中期の前駆細胞群はその遺伝子発現のパターンに基づいて、神経幹細胞、脳室下帯にある成熟した中間前駆細胞、その前段階の、脳室帯に存在する幼弱な中間前駆細胞の3種に分かれることを明らかとし、(2)それぞれに特徴的に発現するマーカー遺伝子群を多数同定した。さらに、得られた遺伝子発現情報のパスウェイ解析と各種機能実験に基づき、(3)生体内では、脳室面側に存在する幼弱な中間前駆細胞がDeltaを発現していること、この中間前駆細胞と神経幹細胞との間でのDelta-Notchシグナルを介したnegative feedback loopが、発生期における神経細胞産生の数とタイミングを制御していることを明らかとした。得られた成果を、横浜で行なわれたNeuro2007にて報告するとともに(口演)、論文としてまとめ学術誌に投稿した。
All 2007
All Presentation (1 results)