Budget Amount *help |
¥30,030,000 (Direct Cost: ¥23,100,000、Indirect Cost: ¥6,930,000)
Fiscal Year 2007: ¥11,310,000 (Direct Cost: ¥8,700,000、Indirect Cost: ¥2,610,000)
Fiscal Year 2006: ¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
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Research Abstract |
大気圧では,バルクプラズマと電極(または合成基板)の境界領域に厚さ約100μmの衝突性シースが形成される。このシースには1000 V/cmを超える高電界領域が形成されるにもかかわらず,大気圧では粒子間の衝突頻度が高いためにイオンは加速しきれない(イオンエネルギー:0.01eV以下)。このような大気圧独自の反応系が大きな注目を集め,先進材料合成プロセスの実現に向けた基礎・応用研究が急展開している。本研究では,イオンダメージ,ラジカルダメージを回避できる新しいプラズマCVD法としてカーボンナノチューブ(CNT)の合成に適用し,減圧プラズマCVDではこれまでほとんど成功例のない垂直配向単層CNTの合成に成功した。平成19年度は,前年度に構築した可視顕微ラマン分光システムを紫外ラマン分光(He-Cdレーザー:325 nm)へ拡張し,プラズマ分光診断および合成されたCNTの性状評価に適用した。プラズマ分光診断には,前年度と同様にプラズマシースを模擬したミニチュアリアクター今開発し,電子温度,ガス温度,励起温度など種々のプラズマパラメータを計測した。これらの結果を受け,単層カーボンナノチューブを合成するための大気圧プラズマCVD装置(汎用真空チャンバー,及びメカニカルブースターポンプ)を関発した。 CNT合成実験では,プロセス制御において最も重要となる合成圧力の影響を調べた。その結果,大気圧(100 kPa)では単層CNTがほぼ100%の収率で合成されるが,僅か20 kPa (1/5気圧)まで減圧するだけで,単層CNTが多層CNTに転移する現象をはじめて見出し,大気圧プラズマCVD特有の反応系を明示することに成功した。現在,大気圧プラズマをベースに微結晶シリコン,ダイヤモンド, GaNなど様々な製膜プロセスが開発されているが,これらのプロセスを統一的に理解するうえで極めて重要な知見を得ることに成功した。さらに,四重極質量分析計を用いて,サブミリメートルスケ-ルのプラズマシースに存在する化学種を同定するシステムも構築し,大気圧プラズマケミストリーの総括的なメカニズム解明を行った。その結果,CH_4の分解によって生じる主な活性種はCH_3ラジカルであることが判明した。なお,ここで関発したミニチュアリアクターは,量子物性を有するシリコン量子ドットを合成するためのマイクロリアクターとしても応用展開した。大気圧プラズマの高反応性を利用して原料ガスを分解すると同時に,三体衝突によってナノクラスターの生成を促進し,赤色(670 nm)から青色(400 mn)までチューナブルに可視発光するシリコン量子ドットの合成に成功した。
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