Budget Amount *help |
¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
|
Research Abstract |
本年度は、ヒトの文脈記憶の脳内機構に関する基礎的な研究および調査をおこなった。 まず、脳機能画像法を用いて、刺激に付随していた色情報の想起過程に関連する脳活動を検討した(Ueno et al.,2007)。具体的には、被験者に無色の無意味図形と有色の無意味図形を記銘させ、その後のPET撮像中に、これら全ての無意味図形を無色で呈示し、何色であったかを想起を求める課題をおこなった。その結果、有色であった図形を想起する際に、記憶に関与する内側側頭葉と色情報処理に関与する側頭葉底部の両方が活動することを明らかにした。この結果は、刺激に付随する情報を想起する際には、記銘時にその情報の処理に関与していた脳部位の再活性化が必要である可能性を示唆している。 次に、脳機能画像法を用いて、出来事に付随していた時間情報の想起過程に関連する脳活動を検討した。具体的には、被験者に様々な出来事を2日間にわたって経験させ、その後のPET撮像中に、出来事を示す写真を2枚呈示し、その時間順序関係の判断を求める課題をおこなった。出来事間の時間的距離が異なる3条件を設定した。その結果、出来事間の時間的距離が小さい条件では外側前頭前野が、一方、大きい条件では前脳基底部がより活動することを明らかにした。この結果は、出来事に付随する時間情報の想起過程に関与する脳部位は、その情報の性質によって異なる可能性を示している。 また、今後の実験課題で用いるために、動物・日常物品のカラー写真それぞれ約300枚について標準化(新密性、新奇性、命名の容易度など)作業を開始し、おおむね完了した。 この他に、本年度は、ヒトが嘘をつく時に活動する脳領域を同定し、その中でも外側前頭前野、内側前頭前野、前部帯状回、扁桃体の賦活が、嘘に関わる記憶や情動の要因によって変化することを明らかにした(Abe et al.,2006;2007)。
|