Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2007: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
うっ病の発症には,血中グルココルチコイド濃度を持続的に上昇させるHPA系(視床下部-下垂体-副腎皮質)機能亢進が関与している可能性がある。また,BDNF(脳由来神経栄養因子)の発現変動が,病態や抗うっ薬の治療的な役割と関連しているとされる。本研究では,HPA系機能亢進のモデルとしてラット海馬および大脳皮質培養ニューロンにdexamathasone(DEX,合成グルココルチコイド)を長期投与した後,BDNFに対する細胞レベルでの生物学的応答を解析した。さらに,うつ病や自殺行動と有意に関連することが示唆されているBDNFの低親和性受容体p75のSer205Leu多型が,神経細胞にどのような影響を及ぼすか検討した。1,幼若海馬ニューロンでは,BDNFがシナプス関連蛋白質の発現増加とシナプス機能の増強効果を発揮する。しかし,DEX暴露後,このBDNF効果が十分に発揮されなかった。このシナプス関連蛋白質増加にはMAPKシグナル経路が重要であり,DEXはMAPKシグナル伝達経路活性化を抑制することを明らかにした(MOL.Endocrinology 2008)。2,成熟した大脳皮質ニューロンにおいて,DEX長期投与後ではBDNFの高親和性TrkB受容体の発現変化はないが,細胞死に関与する低親和性p75受容体が上昇した。そこで,p75のSer型およびLeu型p75(205番目のアミノ酸がそれぞれSerおよびLeu)を培養ニューロンに過剰発現させ,過剰のBDNFが誘導する神経細胞死を定量した。Ser型およびLeu型ともに過剰発現において,顕著な細胞死誘導が観察されたが,Ser型の方がより毒性が強いことを見出した。現在,この表現系の違いを規定するメカニズム解析を,グルココルチコイド受容体やTrkB受容体との細胞内シグナルにおける相互作用に注目して,詳細に解析している。
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