Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2007: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は,動物実験により「神経細胞群が同期して発火することで,一時的な神経集合体を形成し,まとまった知覚を生み出す」という仮説をヒトの脳について検証することである.ここでは聴覚刺激を用いて,どのような刺激に対して,皮質のどの部位の間にどのような同期現象が生ずるか,ということを中心に研究を進めた. まず,正常な脳磁界で比較的同期現象が起きやすいことで知られるガンマ波(30-80Hz)帯域に着目した.このとき聴覚刺激としてチャープ音を頻度40回/sで与えると,よりガンマ波が刺激に位相同期することが知られている(聴性定常応答).この聴性定常応答の位相同期の定量的評価を目的として,聴性定常応答の位相変化に対して,微分方程式モデルを適用する.このモデルは,粘性流体中で熱擾乱を受ける微小荷電粒子の電界による回転運動などを記述する方程式と同一で力学系において引き込み現象の記述にも使われる.まずモデルの妥当性を検討するため,刺激の強度を変化させたときのモデルの刺激に関連するパラメータの変化を調べた.その結果,強度が増すに従って,そのパラメータも増加したことから,モデルの妥当性が伺える.次に言葉や音楽を聴くときには,音に対する注意を喚起することが必要であるが,このモデルのパラメータと注意の喚起の関連を検討し,注意によりモデルの刺激の強さに関連するパラメータが増加を示した.このことから,音に注意することにより音から受ける強さは変化することがわかった.現在は,このモデルを使用して脳の領域間の同期性に着目し検討している.
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