Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2006: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
平成19年度は、土器付着炭化物の起源を探るために、AMS-14C年代測定、安定同位体分析(炭素、窒素同位体)、ステロール分析法を有機的に結びつけ、古食性の解明を行った。 1)琵琶湖周辺の低湿地遺跡から出土した土器付着炭化物の炭素年代測定を行ったところ,内面付着物が外面付着物よりも古い炭素年代を持つ場合が多いことがわかった。原因の一つは,琵琶湖に淡水リザーバー効果が存在し,その魚介類を煮炊きしたため炭素年代が古く出た可能性が考えられる。縄文時代中期の遺跡から出土した,貝の年代測定結果が同時代の炭化材の年代よりも〜300年古い炭素年代を示すことから,淡水リザーバー効果が存在する可能性を示唆した。もう一つは,内面付着物が土器埋没後に土壌などによる二次的な汚染(続成作用)を受けた可能性が考えられる。 2)北海道礼文島浜中2遺跡出土土器付着炭化物を用いて,礼文島近辺のローカルリザーバー効果を,ΔR=452±76^<14>C yr(at 3000BP)と推定した。特に,海産哺乳類のタンパク質と同じC/N比(〜6)を示す付着炭化物(3715±35BP)は,AAA処理前後のC/N比が一定であり,また,AAA処理前の炭素年代も3730±25BPとAAA処理後の年代とよく一致した。したがって,この付着炭化物は海獣オリジナルの炭素年代情報と化学組成を保持している可能性が高い。一方,それ以外の付着炭化物は,AAA処理中のC/N比と炭素年代が大きく変動すること,また,AAA処理後のC/N比が10〜20と大きく,海獣オリジナルの炭素年代と化学組成を保持していると推定した試料よりも〜100年程度古い年代を示す。これは,何らかの二次的な作用(続成作用)により年代が古くなったためかもしれない。
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