Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2006: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Research Abstract |
本研究は,モンゴル山岳地域の草原-森林漸移地帯における蒸発散特性の解明と,その凍土・水文気候条件との関連性を明らかにすることを目的とする。本年度は,観測として,トーレ川流域の森林(カラマツ)斜面において地形的位置の異なる3地点(谷底、斜面中部,尾根部)にサイトを設定し,5月上旬〜9月下旬にかけて蒸散量,地温・土壌水分と森林の幹生長量を測定した。また,森林樹冠上と草原における地上気象観測を合わせて行った。解析では,本研究以前の2004年から得られている観測データも統合し,森林、草原斜面の水文・気候環境の相違に基づく,水利用に関する生態的特長と,各斜面からの流域水収支への寄与を詳細に検討した。 森林からの蒸散活動とは,5月〜7月上旬の降水量と,その年の蒸散量の最大値(7月中旬〜8月上旬での値)に良い対応関係が認められ,植物の生長時期に降水があることが重要であることが示された。植物生長においては,4月上旬の消雪直後からの地温上昇の進行にしたがって,カラマッの開葉の開始が5月中旬〜5月下旬で年々変動し,それが蒸散の活発化し始める時期を規定していると考えられた。また,消雪後の土壌水分量の多寡も,生長時期の蒸散量を制御する因子と考えられ,特に2007年は消雪時期以降,土壌水分量が4年で最も少なく,蒸散量が最も抑えられていた。以上から,この森林では,夏季の降水時期に加えて,消雪時期と凍土融解(活動層発達)時期の早遅,消雪時の土壌水分量の多寡の水文気候条件によって,植物生長と蒸散量の季節変化と年々の変動量が影響を受けていることが示された。また,2006年において,森林、草原斜面での夏季(6〜8月)の水収支を算定したところ,流出のほとんどは森林斜面からの寄与であり,草原斜面では降水よりも蒸発散量が大きく,土壌水分がその差を補っていることが明らかとなった。
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