Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2007: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
近年,投資家行動に心理学の成果を取り入れた行動ファイナンス(行動経済学)と呼ばれる分野への関心が学術および実務の分野においても高まっている.行動ファイナンスの示唆する投資家行動は解析的手法では取扱うことが困難な場合が多く,そのようなケースにおける有効な分析手法の一つとしてエージェントベースモデルと呼ばれる手法がある.エージェントベースモデルは,コンピュータサイエンスの分野において進展してきた手法であり,投資家行動などの局所的なルールから価格変動など系全体のマクロな挙動を分析する際の強力な手法として注目されている. 本研究では,現実の意思決定の特徴をとりいれた投資家行動が価格変動に与える影響を,エージェントベースモデル(コンピュータ上の金融市場における実験)を通じて分析するものである.このように,伝統的な規範的なモデルから,現実の市場に一歩近づいた条件下での分析は,現実の価格変動メカニズムの解明に貢献するものであり,実務的・社会システム学的にも意義のあるものである. 本研究では,はじめに,現実の意思決定の特徴をとりいれた投資家行動が価格変動に与える影響の解明を試みた.とりわけ本研究では.近年関心を集めつつある自信過剰な意思決定が市場において果たす役割に焦点を当て分析を行い,自信過剰な投資家が市場に生き残り続けるメカニズムが存在することなど,金融市場における価格変動メカニズムに関し興味深い知見を見出した.更に,本研究では,当フレームワークを,現実の問題(年金運用)に適用することも試みた.本分析では,年金運用において広く採用されているパッシブ運用に焦点を当て分析を行い,パッシブ運用の有効性を確認すると同時に,パッシブ運用手法が,状況によっては市場に悪影響を及ぼす可能性のあることなど示唆に富んだ知見を見出した.
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