Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2006: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は、日本全国から収集した胞状奇胎と呼ばれる特殊な検体を用いて、日本人集団の"確定ハプロタイプ"構造を明らかにし、自然選択を受けた染色体領域と対立遺伝子(アリル)を検出することである。同集団のハプロタイプ構造は、国際ハプマップ計画によっても得られるが、親子関係にある検体を用いることなく統計的に決定した推定ハプロタイプであるために、それを自然選択領域の検出に用いた場合の誤検出が懸念される。そこで今年度は、昨年度ゲノムワイドに行った約28万個の一塩基多型(SNP)のタイピングデータに加えて、更に50万個のタイピングを実施し、得られたより詳細な確定ハプロタイプ情報を基に、確定、推定ハプロタイプ間の比較を行った。確定ハプロタイプにおいて、(1)連鎖不平衡係数の距離依存的な平均値の減衰傾向は、より遅く、(2)ハプロタイプホモ接合伸長度は、より大きい、ことを示した。これらの結果は、確定ハプロタイプのペアリングよって擬似的なディプロイド個体を作成した後、推測プロセスを経由したハプロタイプ間との比較においても検出された。この事実は、(1)(2)の結果が、胞状奇胎とハプマップ検体間のサンプリングバイアスではなく、推測するプロセスにおいて生じた誤りであることを示唆し、自然選択領域検出に影響を及ぼす可能性が高いことを意味する。そこで、昨年度開発したプログラムを改良し、更に検出感度の高い比較統計量を開発・実装し、特に推定ハプロタイプでは検出しえない自然選択領域がゲノム中に散在することを明らかにした。これらの結果は、50万個という詳細なタイピングを行うことにより明らかとなった、確定ハプロタイプの重要な利点である。今回決定したタイピングデータは、有用なリソースとしてデータベース化し、解析結果は、アメリカ人類遺伝学会(San Diego,California,America)、及び、国際先進ゲノミクス学会(東京)にて発表した。
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