Project/Area Number |
18720057
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Japanese literature
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Research Institution | Otsuma Women's University Junior College Division |
Principal Investigator |
城殿 智行 Otsuma Women's University Junior College Division, 文学部, 准教授 (00341925)
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Project Period (FY) |
2006 – 2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2007: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2006: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 日本近代文学 / 批評 / 映画 / 映像 |
Research Abstract |
明治期以降、政治・文化の規範とみなされてきた欧米諸国において、批評的言説が果した社会的役割に比し、目本近代の文芸批評は、独自の存在意義を担ってきたのだとされる。殊に、マルクシズム及びプロレタリア文学運動、モダニズム運動等の転換期にあたる大正末期から昭和初年代にかけて、文芸批評は、小林秀雄の活動とともに、多領域の様々な言説を批判しうる思想的意義を担うものとして、単に文芸創作の審美的な価値判断にはとどまらない役割を負うようになった。つまり日本近代における文芸批評は、文芸以外の諸芸術全般に対する批評言説としても機能するとともに、哲学・思想的な意義をも担うものとして、ある意味では過重な役割を果してきたのだと言える。現在、人文諸科学における各研究分野は、学としての体裁を整えることで自立性を高めるとともに、一面ではその反省として、領域横断的な学際化を謳うようになったが、日本近代においては、ある時期までの文芸批評が、未成熟な諸言説領野における規範的な批評言説として働き、また同時に、領域横断的な思考を実践する先駆的な役割を担ってきたのだという歴史的経緯が、今一度再考されるべきである。そうした展望に立っ本研究は、領域横断的な言説が、ある時代・社会の中で生産する意味を捉え直そうとする試みであり、殊に大衆文化として非常に大きな社会的影響力を持った映函・映像表現に対して、文芸批評がどのような言説を生産し、批評的な判断を加え、戦後民主主義社会における新たな思想的意義を付与しようと努めたか、等を明らかにした。平成19年度は、前年の研究成果(城殿智行「ミナミゾウアザラシの不思議-三島由紀夫と中上健次の〈戦後〉」、『日本文学』2006・11、48-56;城殿智行「列車の失策-オルミ/キアロスタミ/ローチ『明日へのチケット』」、『立教大学日本文学』、2006・12、206-213)を踏まえ、それを発展させるように努めた。改めて論文の公表を予定する。
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