Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2006: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Research Abstract |
本年度は,テキストファイル化した資料から対音一覧表を作成する一方,各資料に現れる対音の比較(文献学的検討)と,中国語→朝鮮語対音の借用語音韻論的分析を行った。 (1)データベースの完成…昨年度に引き続き,研究資料のテキストファイル化を完成させ(『華音撮要』『中華正音』『華音啓蒙諺解』『千字文・百家姓』『華音正俗変異』),更に全テキストの対音を一覧できる「対音一覧表」を作成した。対音一覧表の項目には,漢字・対音だけでなく,『広韻』小韻・ト現代北京語音・朝鮮漢字音を併記した。総漢字数は1,400字である。 (2)文献学的検討…各文献中の対音の性質に基づき,上記資料が大きく2グループに分類されることを明らかにした:(A)『華音撮要』前半,『中華正音』等, (B)『華音撮要』後半,『華音正俗変異』の「正音」。(A)は口語音, (B)は文語音(伝統的読音)と見られる。 (3)音韻論的分析…朝鮮語対音が当時の中国語をどのように写していたのか,頭子音・主母音・末子音に分けて分析を行った。基本的な対応パターンは先行研究の指摘に符合するが,本研究Tでは,先行研究であまり検討されていない,資料中の様々なバリエーションについて,音声学的分析を試みた(/f/〜/p^h/転写のゆれ,中国語無気音が朝鮮語の平音乃至濃音に対応する際の分岐条件等)。本研究内容は現在論文として執筆中である。 (4)本研究で扱う19世紀中国語-朝鮮語対音が,現代朝鮮語(延辺朝鮮語)で行われている中国語→朝鮮語借用語と類似の借用パターンを示すことに着目し,延辺朝鮮語母語話者からの聞き取り調査と,その録音資料の音響学的分析を行った。 (5)以上の調査・研究と併せ,特に中国語/朝鮮語(朝鮮漢字音を含む)に関する音韻論的研究を進め,また音韻論関連諸学会に参加し,随時発表を行った。
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