Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2006: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Research Abstract |
2006年のチンギス・ハーン即位800周年を迎えて,モンゴル国では熱狂的な祝福ムードに沸き立っていた。このチンギス・ハーン即位800周年を巡る熱狂は,モンゴル国内に限られず,国境を超えた様相を呈している。そもそもモンゴル人は,ロシア連邦ブリヤート共和国,中国内蒙古自治区などに分散して居住する「多国家民族」でもある。ロシアや中国において,国家との微妙な緊張関係をはらみながら,マイノリティとしてのモンゴル人たちはチンギスの祝祭を企図している。本研究は,こうした国家や民族を超えて増殖する「チンギス・ハーン崇拝」の現状と諸相を把握し,チンギス・ハーン狂騒の背後あるナショナリズムの諸相とメカニズムをフィールド調査に基づいて明らかにしていくことを目的とした。昨年は,本年は,最終年ということで,国際シンポジウムを企画・実施した。シンポジウムは『文化資源として利用されるチンギス・ハーンモンゴル,日本,ロシア,中国の比較から』というタイトルで,国立民族学博物館の小長谷有紀教授,ロシア科学アカデミーのT,スクリンニコヴァ教授,モンゴル国立大のムンフエルデネ教授,中国内モンゴル大のナサンバヤル教授を招いて,本学にて1月25日に開催された。3カ国に跨るモンゴル系諸民族のナショナリズムの比較研究は,ほとんど存在しない。シンポジウムは,学外研究者も多く参加し,日本モンゴル学会定期大会に匹敵する120名の参加者をもって成功裏に終わることができた。 この成果は,本学人問文化学部の紀要『人間文化』の22号にて特集記事として発表されることとなっている。
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