Budget Amount *help |
¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
|
Research Abstract |
本研究において明らかにされたことは,まず2002年の「近隣民主主義法(近隣民主主義に関する2002年2月27日の法律第2002-276号)」が,一方では人口8万人以上のコミューンに対して「住区評議会」の設置(市内を複数の住区に区画し,地元住民による評議会を置く)を義務づけながらも,他方でその制度設計については,国家法レベルで規律せず,各コミューン議会に一任した結果,新設「住区評議会制」の実践状況は設置を義務づけられたコミューンの数だけパターン化されるという点である。従って,この新設「住区評議会制」の実践状況に関する研究は,自ずと各都市コミューンを対象とした個別的な現地実態調査が必要とされるのであり,本研究においては,アミアン市(フランス北部の人口14万人都市)を現地調査のフィールドに設定した。同法に対するアミアン市の対応は,すでに10年が経過した住区委員会システムを存置・継続した点に特徴がある。 平成19年度における研究のうち,重要な位置を占めているのが8月31日から9月24日までの国外研究(パリでの資料収集の後,9月11日以降,アミアン市で実態調査実施)である。同市では,住区委員会の日常的な活動について見学させていただくとともに,一方では市役所地域民主主義担当職員B.ピエール氏と,他方では住区委員会連合のN.ラヴァラール会長ほか幹部の方々と面会して,アミアン市における近隣民主主義の現状について,双方の見解を聴取することができた。その結果,普通選挙に基づく政治的正統性の点で,市当局と住区委員会との間には厳然たる格差が存在し,近年市当局は,住区委員会の頭越しに住民と直接対話する路線を打ち出しつつあることが明らかになった。報告者は,彼らアクターが市当局の圧倒的主導性を当然視する限り,「住民合議」の理念も実体を伴わないものとならざるを得ないとの結論を導き出した。
|