Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2006: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
|
Research Abstract |
本研究では,多市場接触、繰り返しゲームの理論をベースに,国際カルテルが2国にまたがって活動している状況で,各国政府がリニエンシー制度の運用に関して他国と制度の国際協調を行うゲームを検討した。他国でカルテルが摘発された場合,その情報は多国にスピルオーバすると考えるので,他国がリニエンシー制度を採用した場合,自国では採用せずに他国の情報にただ乗りするインセンティブが存在する。そこで,各政府は,伝統的な確率的摘発と罰則の賦課という制度と,それに加えてリニエンシー制度を採用できるものとして,その目的関数を(1)カルテルの防止,(2)カルテル摘発確率の増加,(3)課徴金増による収入最大化の3通りで検討した。(1)の場合,リニエンシー制度の導入はカルテル防止効果を十分発揮しないこと,(2)の場合は両国ともリニエンシー制度を採用することが政府間のゲームのナッシュ均衡になること,(3)の場合は,一方の国がリニエンシー制度を採用し,他方の国がそれにただ乗りすることがナッシュ均衡の1つになりえることが示された。この研究結果は査読付国際誌Economic Bulletineに採択された。また,1国内でのリニエンシー制度運用の効果については,様々な条件を比較しつつ十分な実験的検討を行い,その成果は査読付国際誌International Journal of Industrial Organizationに採択された。リニエンシー制度運用に関する国際間協調に関しては,いくつかの準備的実験を行ったが,まだ十分な成果は出ていない。今後さらにサンプルを増やして,その効果を見極める検討をしていきたい。
|