The structure of the concept of accounting recognition and its changes

• Project/Area Number: 18730288
• Research Category: Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
• Allocation Type: Single-year Grants
• Research Field: Accounting
• Research Institution: Tokyo University of Science
• Principal Investigator: 大沼 宏 Tokyo University of Science, 経営学部・経営学科, 准教授 (00292079)
• Project Period (FY): 2006 – 2008
• Project Status: Completed (Fiscal Year 2008)
• Budget Amount: ¥3,540,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥240,000); Fiscal Year 2008: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000); Fiscal Year 2007: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000); Fiscal Year 2006: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
• Keywords: 組織再編 / 会計認識 / 市場評価 / 課税所得 / 会計利益 / 情報内容 / 営業費用 / 税制改正 / 利益の質 / BTD / 非適格組織再編成 / アラインメント効果 / タックス・シェルター / 租税回避行為 / 利益調整行動 / 株主資本コスト / 実効税率 / 会社分割 / 適格・非適格 / 共同新設分割 / ロジット回帰分析 / 2002年税制改正

Research Abstract

研究期間の3年間にわたって、次の課題について一定の成果を得た。
1.企業組織再編取引を題材に、経営者は何を目的として組織再編成を会計上の取引として認識したかを検討した。第一の成果として、組織再編に関して主導的な立場の企業(AF: acquirer firms)に対しても、従属的な立場の企業(TF : target firms)に対しても、市場評価は肯定的だったという点である。一方でTFは組織再編公表日をピークに、株価を下げていくことが分かった。もう一つは、組織再編の際に用いられる会計手法の選好順位に、AFの財務的要因はどのように関わっているかを検証した。この意思決定には、収益性の回復を主眼としていることがあきらかになった。第二の成果として、非適格組織再編を行う経営者の経済的動機を調査した。分析の結果、適格会社分割と非適格会社分割の選択は経営者の経済的な動機に関連するという仮説は部分的に採択された。具体的には、営業移転損益(譲渡損益)の金額の程度と非適格会社分割選択にプラスの関係を見いだすことが出来る。これ以外にも、役員の持株割合は非適格会社分割の選択に対して影響を持つことが明らかとなった。
2.企業の公表する課税所得に含まれる情報内容を、投資家は何との比較の中から認識しているかを検証した。検証の結果、1998年の法人税法大幅改正を分岐点に、投資家の認識する情報内容に変化が生まれたことが示された。1998年の税制改正は税務会計をより現金主義的な性格へと変化させるものだった。以上から、投資家は課税所得に含まれるより硬度の高い情報内容を認識した上で、投資意思決定に動くことが明らかになった。
3.企業の公表する会計利益と課税所得との差額(これをBTDという)に含まれる情報内容を分析することで、企業の租税回避行為が認識可能か検証した。分析の結果、BTDの拡大は、経営者の利益調整行動とタックス・シェルターを通じた租税回避行為が原因となっている可能性が示唆された。利益調整行動それ自体も、タックス・シェルターを通じた租税回避行為がそのツールとなっている可能性も考えられる。
4.利益の質や実効税率、IR活動など、企業から発信された情報を投資家はいかなるシグナルとして認識しているか検証した。本研究では、特に株主資本コストをその代理変数と見なした上で、Botosan[1997]や Botosan and Plumlee[2002]の知見を参考にしながら、ディスクロージャーへの積極性や利益の質、実効税率と株主資本コストとの間にある関係の分析を実施した。分析により、優良情報発信企業への市場からのポジティブ・フィードバックは、株主資本コストの低減であることが明らかとなった。

Research Products

• [Journal Article] IR優良企業と資本コスト (2009)
  • Journal Title: 日本インベスター・リレーションズ学会研究部会新たな情報開示モデルとIR』成果報告書 第2部第3章 Pages: 43-58
• [Journal Article] 会計利益と課税所得の狭間の見えざる意図 (2009)
  • Journal Title: 税務会計研究 20
• [Journal Article] IR優良企業と資本コスト〜実効税率と利益の質との関係を踏まえて〜 (2009)
  • Author(s): 大沼宏
  • Journal Title: 日本IR学会「新たな情報開示モデルとIR成果報告書」 Pages: 43-58
• [Journal Article] 非適格組織再編に臨む経営者の経済的動機 (2008)
  • Journal Title: 国際会計研究学会年報 Pages: 109-120
• [Journal Article] 非適格組織再編に踏み切った企業の特性とその動機 (2007)
  • Journal Title: 税務弘報 第55巻第3号(3月号) Pages: 89-96
• [Journal Article] 組織再編税制と企業価値の関係 (2007)
  • Journal Title: 税務会計研究 18 Pages: 211-218
• [Journal Article] Corporate restructuring system and corporate value in Japan (2007)
  • Journal Title: Working Paper, Tokyo University of Science
• [Journal Article] Corporate restructuring system and corporate value in Japan (2007)
  • Author(s): 大沼宏
  • Journal Title: Proceedings of Asia Academic Accounting Association 2007 Pages: 1-30
  • NAID: 40016248592
• [Journal Article] Information content of taxable income in Japan (2007)
  • Author(s): 大沼宏・鈴木健嗣・山下裕企
  • Journal Title: Proceedings of Asia Pacific Conference on International Accounting Issues 2007 Pages: 102-120
• [Journal Article] 組織再編税制と企業価値 (2007)
  • Author(s): 大沼宏
  • Journal Title: 税務会計研究 第17号(掲載予定)
  • NAID: 40016248592
• [Journal Article] 非適格組織再編に踏み切った企業の特性とその動機 (2007)
  • Author(s): 大沼宏
  • Journal Title: 税務弘報 第55巻第3号 Pages: 89-96
• [Presentation] Economic motivation of corporate managers facing disqualified organizational restructuring (2009)
  • Organizer: 32nd European Accounting Association Annual Congress
  • Place of Presentation: Tampere, Finland
• [Presentation] 会計利益と課税所得の狭間の見えざる意図〜タックス・シェルター分析〜 (2008)
  • Author(s): 大沼宏
  • Organizer: 税務会計研究学会
  • Place of Presentation: 成蹊大学
  • Year and Date: 2008-10-05
• [Presentation] 非適格組織再編に臨む経営者の経済的動機 (2008)
  • Author(s): 大沼宏
  • Organizer: 国際会計研究学会
  • Place of Presentation: 福岡大学
  • Year and Date: 2008-08-31
• [Presentation] 非適格組織再編に臨む経営者の経済的動機 (2008)
  • Organizer: 第25回国際会計研究学会
  • Place of Presentation: 全国大会、福岡大学
• [Presentation] 会計利益と課税所得の狭間の見えざる意図 (2008)
  • Organizer: 第20回税務会計研究会
  • Place of Presentation: 成蹊大学
• [Presentation] Corporate restructuring system and corporate value in Japan (2007)
  • Organizer: 8th Asia Academic Accounting Association
  • Place of Presentation: Jogjakarta, Indonesia
• [Presentation] Information content of taxable income (2007)
  • Author(s): Kuala Lumpur, Malaysia
  • Organizer: 19th Asia-Pacific Conference On International Accounting Issues
• [Presentation] 資本市場における会計情報と税務情報の有用性の変化 (2006)
  • Author(s): 山下裕企、鈴木健嗣
  • Organizer: 第30回日本経営財務研究学会全国大会、学習院大学
• [Presentation] 組織再編税制と企業価値の関係 (2006)
  • Organizer: 第18回税務会計研究学会
  • Place of Presentation: 日本大学商学部
• [Book] ベーシック企業会計(第2章、第3章、第6章担当) (2009)
  • Author(s): 大沼宏・和田博志編著
  • Publisher: 創成社
• [Book] ベーシック税務会計I-法人税法-(第2章5-8、第7章8-10節担当) (2008)
  • Author(s): 櫻田譲・中島茂幸編著
  • Publisher: 創成社
• [Book] ベーシック税務会計(第2章第6-9,12節担当) (2007)
  • Author(s): 櫻田譲・中島茂幸編著
  • Publisher: 創成社
• [Book] べーシック税務会計 (2007)
  • Author(s): 櫻田譲・中島茂幸・大沼宏・大津淳・大澤弘幸・加藤恵吉他
  • Total Pages: 352
  • Publisher: 創成社