Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
社会の開放性を、「様々なライフチャンスに対する社会階層的背景の影響が弱いこと」と操作的に定義し、分析の焦点を1)世代間の社会移動、2)結婚における同類婚、3)教育機会の出身階層間不平等と設定して、実証研究を進めた。似た階層的地位の男女は結びつきやすいのか(階層同類婚)、そうした同類婚の傾向は時代的に変化をしたのか、すなわち結婚を通した社会移動とも呼ばれる家族次元における階層問題について分析をおこなった。それにより、階層同類婚の傾向は、親職業、本人学歴のいずれで測ってもみられるものであること、長期的にはそれらの同類婚傾向は弱まってきたこと、日本と韓国では学歴同類婚の趨勢が異なること(日本は緩やかな減少、韓国は増加)などが見出された。さらに結婚における選択行動に着目して研究を進めた。女性は学歴が高くなるほどより高い学歴の配偶者を選択しようとする傾向が強く、それにより学歴同類婚と高学歴女性の晩婚・未婚がもたらされることを明らかにした。社会移動と同類婚の趨勢を見る限り、日本社会の開放性は、長期的にみれば安定ないし微増という程度であったが、格差に関する意識は必ずしもそれと対応しない。世論調査データにみられる格差意識は、この10年ほどでより格差を感じる方向へと大きくシフトした。その変化は社会全体的なものであって、一部の、例えば低所得層において変化が顕著というようなことはない。その意味では、社会の格差意識が二極により分かれていくという傾向ではなく、皆々が日本社会の格差の存在を認知するような局面に移行したというのが近年の変化の方向性であったと指摘できる。
All 2008 2007 2006
All Journal Article (12 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (3 results)
社会学研究 81
Pages: 67-92
40015457830
ESTRELA 158
Pages: 32-35
Korean Journal of Sociology of Education 17巻1号
Pages: 53-76
社会学研究 81号(印刷中)
SSJデータアーカイブ リサーチペーパーシリーズ 36号
Pages: 37-54
SSJデータアーカイブ リサーチペーパーシリーズ 37号
Pages: 81-94
対等な夫婦は幸せか(永井暁子・松田茂樹編)(勁草書房)
Pages: 29-43
Deciphering Stratification and Inequality (SATO, Yoshimichi (ed)) (Trans Pacific Press)
Pages: 140-160
Pages: 163-182
社会学研究 79号
Pages: 165-193
社会の見方、測り方(与謝野有紀ほか編)(勁草書房)
Pages: 113-120
Pages: 261-267