Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥300,000 (Direct Cost: ¥300,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は,Hammen(1991)により提唱された「ストレス生成モデル」(「抑うつ脆弱性をもつ者は,客観的なストレッサーを自ら引き起こしてしまう」とする仮説)を検討することと,この「従来型ストレス生成モデル」を拡張した「拡張型ストレス生成モデル」(「抑うつ脆弱性をもつ者は,客観的なストレッサーが存在しないところで,主観的にストレスを作り出してしまう」とする仮説)を検討することである。平成19年度の成果は以下の通りである。 従来型ストレス生成モデルの検討においては,ストレス生成要因として,対人コンピテンスに注目し,さらに,ネガティブなストレッサーだけでなくポジティブなストレッサーにも注目して,大学生を対象として質問紙調査を行った。その結果,対人関係で感情を制御できないとネガティブな対人出来事を経験しやすい傾向にあることと,非言語的コミュニケーションがうまくできたり関係づくりのスキルがあったりするとポジティブな対人出来事を経験しやすいことが示された(日本教育心理学会第50回大会と日本心理臨床学会第27回大会にて発表予定)。 拡張型ストレス生成モデルに関しては2つの研究を行った。第1に,現代において問題となっている社会人の職場・仕事ストレスを,拡張型モデルの観点から検討した。その結果,抑うつスキーマ(非合理的な信念)が主観的な仕事ストレスと関係していることが示された(日本心理学会第70回大会にて発表予定)。第2に,約2ヶ月の期間を設けた2時点(2007年11月,2008年1月)の縦断調査を大学生に行った。その結果,1回目の抑うつを統制しても,1回目の抑うつスキーマが2回目の主観的ストレスと関係することが示された。この結果は,1時点の調査の結果では判断できない因果関係を確認できる意義ある結果であり,現在,学会誌に論文投稿するための準備を進めている。
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