ヴィゴツキー研究からみたリテラシー論の構築と学校改革の課題
Project/Area Number |
18730484
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Educaion
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
黒谷 和志 Hokkaido University of Education, 教育学部, 准教授 (40360961)
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Project Period (FY) |
2006 – 2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2006: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | リテラシー / ヴィゴツキー / ヴィゴツキアン・アプローチ / ディスコース / 意味生成 / 社会文化的アプローチ / ヴィゴツギー |
Research Abstract |
平成19年度は、前年度の成果をふまえ、学校教育におけるリテラシーの学びへのヴィゴツキアン・アプローチのうち、以下の点に関連する研究動向に着目して関連資料を収集し、検討をおこなった。 1.ヴィゴツキー理論を社会言語学的な立場から再評価するジー(Gee, J.P.)の論考を考察した。リテラシーの学習が精神発達に及ぼす機能を解明する視点に加え、リテラシー実践がおこなわれる学習共同体において共有される「ディスコース」との関連でリテラシーに迫る視点が提起されている。この動向は、教室ディスコースの形式を解明しつつリテラシーの問題に迫る研究動向につながっている。 2.本研究では、リテラシー実践が展開される制度的空間としての教室がもつディスコースの特徴を、ワーチ(Wertsch, J.V.)らの研究に依拠し、「脱文脈化された合理性の声」が特権化される点に見出した。それに対して、グーチェレイス(Gutierrez, K.D.)の研究構想を手がかりにし、リテラシーの教育において生きられた文脈から応答を求めて発話される学習者の声が教室空間に生成する条件を解明することを試みた。 3.さらに、リテラシーを文化的、制度的、歴史的に拡張して把握する社会言語学的アプローチを批判的に捉え直し、異なるコンテクスト間(多文化間)を越境しつつ「外的なもの」や「異なるもの」と接触する中で、学びの当事者の側にあらわれる意味生成・再生の物語に焦点化しながらリテラシーの教育を捉え直していく研究動向に着目し、検討をおこなった。 4.以上をふまえ近年の教育方法学研究におけるヴィゴツキアン・アプローチの諸動向を再検討した。教室でのリテラシーの学びにおいては、学習活動を状況づける活動システムの捉え直しを、学びの当事者の側に生起する意味生成・再生の物語との関連において問う必要があること、学校で学ぶ知が埋め込まれたディスコースそれ自体を問い直す行為としてリテラシーを捉え直すとともに、意味生成の当事者としての子どもに焦点化したリテラシー把握をおこなう必要性があることが明らかとなった。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)