Project/Area Number |
18730515
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Educaion
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Research Institution | Hiroshima Bunka Gakuen Two-Year College |
Principal Investigator |
白銀 夏樹 Hiroshima Bunka Gakuen Two-Year College, その他, 准教授 (00335712)
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Project Period (FY) |
2006 – 2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2007: ¥100,000 (Direct Cost: ¥100,000)
Fiscal Year 2006: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | アドルノ / 自律性 / 芸術教育 / 美的人間形成 / ホルクハイマー |
Research Abstract |
ドイツで入手した未公刊資料などをもとにアドルノの自律性概念と芸術観の分析を行い、芸術教育と自律性の教育を架橋するアドルノ教育思想の再構成を行った。本年度の成果は次の2点である。 1.アドルノにおける自律性の概念と芸術教育観アドルノの自律性の概念には、ファシズムのような他律的社会への反省をふまえ、自分自身を含む現状への批判的反省によって遂行的に実現されるものとしての人間観が集約されている。この人間観が顕著にうかがえるのが、Bildung概念を扱った一連の(未公刊資料を含む)著作であった。また、既刊のアドルノの芸術教育論には直接記されてはいないが、音楽論など芸術そのものを主題としたアドルノの著作から、現代社会への批判的視野の獲得と、現状とは異なる状況がいっか将来しうる可能性の感受という、アドルノが近代芸術作品に見出した美的経験の意味が明らかになった。 2.アドルノの教育観の現代的意義現状と自己への反省として自律を遂行的に実践するというアドルノの人間観は、「自己が自己を統御する」という一般的な自律的人間観とは異なるが、管理社会(監視社会)論や価値多様化批判などの現代社会批判をふまえるならば、ミニマムに実践できる人間の自律の姿として、一定の意義を有していると考えられる。また何らかの抽象的な理想ではなく、芸術経験に希望へと人を導く契機を見出している点でも、独自の自律的人間像を射程とした芸術教育観を読み取りうることが明らかとなった。
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