Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2007: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2006: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Research Abstract |
基本的な境界値逆問題であるLaplace方程式のCauchy問題,特に外部境界上の観測データであるCauchyデータを基に,内部境界上の未知の境界値を同定する問題を取り扱った.これは心電図逆問題の数理モデルとしても知られ,数学のみならず工学・医学上も重要な問題である.この問題を数値的に解くために,変分法約数値解法もしくは随伴法と呼ばれる逆問題の反復数値計算手法を考えた.適用範囲の広さや妥当な数値結果が数多く示されていることが本手法の特徴である.しかし,数値結果による妥当性のみで,本数値解法の数学的諸性質は未だ明らかにされていないのが現状である.また,数値解が収束するまでに多くの反復回数を必要とする欠点を有する.そこで,本反復解法の収束証明と収束を高速化するための刻み幅と呼ばれるパラメータの制御法を議論することを目的とした. 本年度は数学的取り扱いを容易にするため,領域は円環領域とし,Cauchyデータは誤差を含まず有限Fourier級数展開できると仮定した.このとき,本数値解法の収束証明を行い,収束を最速にする意味で最適な刻み幅の陽的な式を理論的に得た.さらに,この収束証明の過程に注意したことで,有限回の反復計算で収束するような刻み幅の理論式を導出することに成功した.実際の数値計算では離散化誤差を有するため,刻み幅の選択にこれらの結果を適用しても有限回の反復計算で収束することはなかった.しかしながら,収束速度が劇的に改善されることを確認し,従来の数値計算の欠点を解決することができたと考えられる.
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