Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2007: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2006: ¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
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Research Abstract |
今年度は昨年度に引き続き,高分解能誘導ブリルアン散乱分光法によって,量子凝縮系である固体/液体水素の低エネルギー素励起の分光を行った. 固体水素の超音波周波数および吸収係数の温度依存性をこれまでで最も高い精度で測定できた.また,低温領域においては入射レーザーの強度によって超音波周波数・吸収係数が変化していることを見出した.この事実は固体水素の「量子性」に基づく自己修復効果の可能性があることが分かった. 液体水素における光散乱信号は当初の予想よりも非常に強く,液滴内の周回モードを利用しなくても十分な信号強度およびシグナル・ノイズ比を得ることが可能であることが新たに分かった.そこで,液体水素についてもバルク状態において超音波周波数および吸収係数の温度依存性を高い精度で測定することが可能であった.量子液体の「量子性」は巨視的状態の動的な側面に現れることが期待されており,熱伝導率や粘性率といった輸送係数の精密な測定が長く望まれていた.特に液体における体積粘性率は量子性を反映すると考えられており,重要な物理量である.本研究では液体パラ水素の体積粘性率を温度依存性まで含めて高精度に決定することができた.本研究結果より,液体パラ水素における体積粘性率は過去の予想に反して有限の値を持ち,温度係数の符号が剪断粘性率とは逆であることがわかった.また,希ガス液体のシミュレーションによっても体積粘性率が有限の値となることが示され,希ガスに近い特性を持つことが期待される液体パラ水素における本研究結果の正当性が裏付けられた.
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