Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
フルホイスラー合金のひとつであるCo_2MnSiは、第一原理計算からハーフメタルであると予測されている。キュリー温度が985Kと高く、また規則的なL2_1構造が比較的作成しやすいなどの利点もあり、トンネル磁気抵抗素子への応用が試みられている物質の一つだ。本研究ではこのCo_2MnSiに注目し、Co_2MnSi/MgO/Co_2MnSi磁気トンネル接合の輸送特性を議論した。ハーフメタルをリードとした磁気トンネル接合の場合、通常の半無限リードを仮定した伝導計算は大きな困難を伴う。それは、界面ギャップ状態を介したスピン反転を考慮しない限り、反平行磁化での伝導が常に消えてしまうというものだ。本研究ではこの問題を便宜的に避けるため、Co_2MnSi/MgO多層膜を取り扱い、交流伝導度のω依存性からω→0の外挿値を見積もった。ここで、Co_2MnSi膜はハーフメタル性が現れない程度に薄く保たれており、界面ギャップ状態が十分伝導に寄与するような設定となっている。これにより反平行磁化での伝導が強調されるため、得られるトンネル磁気抵抗(TMR)比は、実際より過小評価された値になると考えられる。Co_2MnSi/MgOの界面パターンにはCo終端界面とMnSi終端界面があるが、その双方を調べた結果、Co終端界面では約200%、 MnSi終端界面では約300%のTMR比が期待できることが分かった。界面の形成エネルギーの解析によると、よりTMR比の高いMnSi終端界面が現れる可能性が高い。この手法がTMR比を過小評価していることも考え合わせると、Co_2MnSi/MgO/Co_2MnSi接合のTMR素子としての可能性は極めて大きいといえる。
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Journal of Physics: Condensed Matter 19
Pages: 365228-365235
J. Phys. : Condens. Matter 19巻(in press)