Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2006: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Research Abstract |
前年度,アモルファス状態のポリフルオレンについて励起状態構造を決定することに成功したが,今年度はそれを結晶化させ,励起状態構造の変化について調べた。その結果,連続準位から3本の励起状態がスプリットし,電場変調スペクトルに振動構造が現れる様子や,その振動構造の高エネルギー側には,バンド形成を示すフランツケルディッシュ(FK)振動が重なっていることが分かった。π共役系高分子におけるFK振動の観測は,これまではモノマーの単結晶から固相重合させたポリジアセチレンでしか報告されていなかったが,今回の研究で,塗布法から作製したπ共役系高分子薄膜が,FK振動が観測されるほどの高い結晶性を示すことが分かった。なお,これまでにも電場変調分光の測定結果は数多く報告されているが,ほとんどのものでFK振動が観測できなかったのは,高分子が容易に酸化され,励起状態のコヒーレンス長が極端に短くなっていたためと考えられる。事実,ポリフルオレンを劣化させたサンプルではFK振動は観測されなかった。また,この仮説が他の高分子にも当てはまることを実証するため,新たに大気安定性に優れるポリチオフェン誘導体の製膜条件についても検討を始めた。既に,十分に結晶性の高い薄膜を得るところまで来ている。なお今年度は,低分子量のポリチオフェンが示す結晶多形を利用することで,光学特性におよぼす分子間相互作用の影響についても調べた。その結果,ポリチオフェンの蛍光特性には確かに分子間相互作用が働いているが,それは双極子一双極子相互作用ではなく,π軌道の直接的な重なりによるものであることが強く示唆された。
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