Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2006: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Research Abstract |
本研究は,火山活動の推移に伴って火道システム内の流体系がどのように変化するかを地震学的手法により定量化することを狙い,阿蘇火山長周期微動を例にその波動特性の長期的変動を詳細に検討し,そのモデル化を行う. そのため研究計画2年度にあたる今年度は,まず初年度において開発を行ったアナログ記録トレース・ソフトウェアを利用し,1930年代から現在に至るまで残されている煤書き記録の数値化を進め,そこに記録されている火山性長周期微動の周波数特性をデータベース化した.今年度は,京都大学地球熱学研究施設に保存されている阿蘇火山の煤書き地震記録のうち1930年代から1960年代までの期間において代表的な記象約150枚をデジタル化し,そのトレースを行った.この期間は阿蘇火山の活動時期を2度含むものであるが,デジタル化の結果,長周期微動周期の時間変動は活動推移と強い相関があることが示された.さらに今年度は,このような長周期微動波動特性と火山性流体物性の関係を定量化するために流体亀裂問題の数値解法の拡張を行った.活動期における火道内現象には粘性物質であるマグマが関与するため,本研究では流体亀裂振動に対する流体粘性の影響にも着目し境界積分法を用いた数値解法の拡張を行った.その結果,流体亀裂振動の減衰特性とマグマ粘性の関係を定量化することが可能となった.阿蘇火山の浅部火道システムの場合,粘性率が10^4Pa・s以上の場合長周期微動として観測されるような地震波を発生し得ないことが示され,このような数値モデリングにより火道内の温度圧力状態の推定により強い制約を与えることが可能となった.また,これらの新たな数値モデリングを通した過去の記録の再検討と同時に,本研究の成果を今後の阿蘇火山の活動推移の定量的理解に役立てるため広帯域地震観測網を用いたリアルタイム・モニタリングシステムの構築も行った.
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