Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2006: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Research Abstract |
本研究では,微小流路内においてベシクル内から漏出させた電気化学活性物質をアンペロメトリーにより高感度に検出することが重要な課題である。電流値は電極面内に形成する測定物質の濃度勾配の積算値であるから,感度を上げるには作用電極の面積または濃度勾配を大きくすることが必要である。これまでに,電極面積を大きくすることは,S/N比を低下させるため有効ではないことを微小流体デバイスを用いて示した。これは,物質が電極反応により消費されながら流れる結果,電極の下流ほど電極垂直方向の濃度勾配が小さくなるためである。そこで,与えられた面積の中で濃度勾配を増加させることが必要になる。そのため,本研究では一本の電極を複数に分割して間隔を置いて配置するくし状の電極を検討した。電極がない部分で試料が補充されるので,下流側での濃度勾配の減少を抑えることができるからである。さらに十分な間隔があれば,分割したどの電極上でも同様の濃度勾配が形成されると推察される。くし形の電極については,これまでに2対の電極を用いて酸化還元を繰り返して感度を上げる検討は行われていたが,くし形電極単独での詳細な検討はなかった。そこで,ポリマー基板およびポリジメチルシロキサンを用いて,間隔をあけた2本の作用電極をもつ微小流体デバイスを作製し,このアプローチの妥当性を検証した。その際,微小流体デバイスで用いられる流速範囲で,物質の種類を変えることにより電流応答の拡散係数依存性を調べた。その結果,どの拡散係数およびどの流速でも間隔の増加とともに電流値は増加し,200μm近辺で最大一定となった。また,電流値を様々な拡散係数および流速で数値シミュレーションしたところ実験結果と一致した。以上から,このアプローチが妥当であり,微小流体デバイスで用いられる流速で様々な電気活性物質に適用できることを明らかにした。
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