Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2006: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
|
Research Abstract |
二核化配位子1,8-ビス(ターピリジル)アントラセン(btpyan)を用いて、(3,6-t-Bu_2q)Ru(OH)(3,6-t-Bu_2q=3,6-ジ-tert-ブチル-1,2-ベンゾキノン)部位を向かい合わせに架橋した[Ru_2(OH)_2(3,6-t-Bu_2q)_2(btpyan)](SbF_6)_2は水の四電子酸化による酸素発生反応を効率よく触媒する。ジオキソレン配位子上の置換基は触媒活性に大きく影響し、3,6-t-Bu基の代わりに4-NO_2,3,5-Cl_2が置換した錯体では酸素発生反応に対する触媒活性を示さなかった。そこで、錯体の電子状態に対するジオキソレン配位子上の置換基効果を明らかにするため、一連の[Ru(OAc)(L)(terpy)]錯体(L=3,5-t-Bu_2C_6H_2O_2,4-t-BuC_6H_3O_2,4-ClC_6H_3O_2,3,5-Cl_2C_6H_2O_2,Cl_4C_6O_2,terpy=2,2':6',2"-ターピリジン)を合成し、その電子状態をEPRで検討したところRu(L)部位はRu^<II>(sq)(sq=semiquinone)とRu^<III>(cat)(cat=catecholato)の中間的な電子状態をとり、置換基の電子供与性が増加するほどRu^<II>(sq)に、電子吸引性が大きいほどRu^<III>(cat)に近いことが明らかになった。DFT計算を用いて、酸素発生反応の機構に関して検討を行ったところ、[Ru_2(OH)_2(3,6-t-Bu_2q)_2(btpyan)]^<2+>は二つのプロトンを解離することにより分子内でラジカル的にO-O結合を形成することが示唆された。また興味深いことに、酸素発生に必要な四電子の酸化を錯体内の中心金属であるルテニウムではなく、ジオキソレン配位子が担っていることが分かった。これらの結果はこれまでに提唱されていない全く新しい酸素発生機構であり、同研究領域に大きな影響を与えるものと考えられる。
|