Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
本研究では室温動作可能な半導体スピントロニクスデバイスの実現に向けて,室温強磁性半導体であるCoドープTiO_2(Co:TiO_2)をp型GaN基板上にエピタキシャル成長したヘテロpn接合を作成し,スピンLEDとして動作させることを目的とした。 本年度は,平成18年度に試作したCo:TiO_2/p-GaNヘテロ接合の電流注入発光(EL)スペクトルの円偏光度を磁場下において測定した。室温および約10Kの低温での発光を観測することに成功したが,スピンLED動作は確認されなかった。原因を探るため,光電子分光測定によりCo:TiO_2/p-GaNヘテロエピタキシャル薄膜の界面状態とバンドオフセットを評価した。当初計画していたin situ XPS/UPSチャンバは作製が間に合わなかったため,KEK-PF BL2Cにおいて放射光XPS測定を行った。TiおよびGaの内殻スペクトルは,TiO_2とGaNの界面反応に起因するTiN層やGa_2O_3層はほぼ存在しないことを示した。一方で,価電子帯スペクトルは伝導帯のバンド不連続が価電子帯よりも大きいことが示唆された。これはヘテロ接合において正孔が伝導キャリアとなることを意味しており,Co:TiO_2からp-GaNへのスピン偏極電子の注入が困難なことを意味する。 この問題を解決するために,発光層としてGaNとほぼ同じ結晶構造をもつ酸化物半導体であるZnOを用いた3層構造の作製を試みた。300℃以下の低温で成長したZnOをバッファ層とすることで,室温で強磁性を示す良質なCo:TiO_2エピタキシャル薄膜を初めて得た。作製したCo:TiO_2/ZnO/p-GaN 3層構造についてELスペクトルとその磁場依存性を評価したところ,スピンLED動作は見られず,ZnO層の不純物に由来する赤色発光が観測された。よって,発光層であるZn0の品質の向上が今後の課題であると結論した。
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