Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
自然,人工問わず地盤構造物の多くは土粒子間隙に水と空気を含む三相構造で存在している.間隙が水で満たされている場合を飽和状態と呼び,空気が存在する一般的な不飽和状態とは区別する.しかしながら,地盤工学の発展は飽和状態にある土の挙動を表現することで発展してきたため,未だに不飽和土の力学が実問題へ適用されることは少ない.本研究は,申請者らが究明してきた不飽和土の力学体系を初期値境界値問題として定式化し,実用化するために実現象における各種水理境界変動の解析上の表現法を確立し,その影響を明確にすることを目的としている. 前年度,行った土柱試験により地下水位変動と降雨による地盤内含水率変化を実験により求め,解析結果との比較を行った.今年度は,蒸発と外力が地盤内含水率分布に及ぼす影響を検討した.蒸発に関してはモニタリング法という水分特性曲線を求める方法が提案されており,蒸発時の含水率低減とサクション変動が水分保持特性に一致するのは明らかにされている.ここではその影響深度に関して,模型実験と解析の結果を比較した.その結果,地盤表面が乾燥してくると,実蒸発量が低下するため土内部での含水率低下がかなり抑制されることが明らかとなった.また初期の含水率分布によって,地盤のサクション増加挙動が大きく異なることが分かった.外力に関しては,シミュレーションによる検討を行った.非排水条件下で不飽和状態にある地盤に外力を加えると,外力や初期含水状態に依存した,異なる含水率分布を呈することが分かった.この結果は,締固めなどの外部との水収支がない状態で外力が作用する条件で,締固厚さや外力の大きさによって,品質が異なる可能性があることを示唆している. 以上,本研究で得られた知見は,不飽和土の力学を地盤工学上の問題へ適用するための一助となったと思われる.今後は,定量的な表現において解析精度を高めていくことを目的とする.
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