Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2007: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2006: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Research Abstract |
種々の材料の生成プロセスに関与している微粒子分散系では,微粒子の分散剤・凝集剤として高分子電解質が添加されるが,微粒子の分散・凝集効果に対する高分子電解質の作用機構には未だ不明な点が多い.プロセスの高精度化・高効率化のためには,その作用機構を分子レベルから理解することが必要であり,その手段として分子シミュレーションが有効であると考えられるが,計算機の能力による制約から,従来の手法では実現が困難であった.そこで本研究では,溶媒を陰に扱い,溶媒の情報を近似的に含む溶質間相互作用を用いることにより,計算量の大幅な削減と定量性の確保を両立した新規なシミュレーション手法を確立し,微粒子表面における高分子電解質の分子挙動(ミクロな情報)と液相中での微粒子挙動の支配因子である微粒子表面間力(マクロな情報)の関係を解明することを目指した. 本年度は,前年度に開発した水溶液中における高分子電解質単分子のシミュレーションプログラムを多分子系に拡張し,高分子電解質に含まれるイオン基の割合や,添加塩の影響を適切に表現できることを確認した.さらに,このような高分子電解質水溶液中に微粒子を含んだシミュレーション手法の開発に取り組んだ.カチオン基を有する高分子電解質水溶液中に,負に帯電した微粒子を導入したシミュレーションプログラムの開発を行い,カチオン基の割合と微粒子表面における吸着状態について検討を行った.その結果,カチオン基の割合が小さくなると,高分子電解質の凝集が起こり,微粒子表面への高分子の吸着が起こらないことがわかった.このように本研究では,従来は困難であった微粒子まで含んだ高分子電解質水溶液のシミュレーションを可能とする手法の開発に成功しており,この手法用いることで微粒子表面間力に及ぼす高分子電解質の影響について分子レベルで検討できると考えられる.
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