Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
水素の放射性同位体であるトリチウム(3H,T)が放出された際には水分子の水素を容易に置換しトリチウム水として拡散することが期待される。本研究では昨年度に引き続き、このリチウム水の新たな検出手段として近赤外領域の高感度・高分解能分光を行うことを目指した。ノートパソコンによるLabVIEWを用いたレーザー制御・データ入出力システムが完成し、ブランク実験として放射性のトリチウムの代わりに重水素を含んだ水分子であるHDOの分光を行った。観測した振動遷移はトリチウム水の場合と同様にトリチウム水の振動遷移(O-H結合の倍音(2_<v3>))の観測を行った。水分子と同様にHDOの場合でも水分子と同様に強い吸収強度で観測されることが確認された。1.38ミクロン帯はこのように他種類の水分子の同時検出には優れていると考えられるが、トリチウム水が実際にフィールドで観測される場合には、通常の水分子に比較してずっと少ないことが期待される。そこで、通常の水の吸収が小さいことが期待される1.6ミクロン帯の外部共振器型半導体レーザー(科研費による購入品)を導入し、その動作確認を行った。富山大学水素同位体科学研究センターの施設へ移設し、トリチウム水を用いた高分解能分光測定を行う予定である。