琵琶湖をモデルシステムとした沿岸食物網の時空間構造解析
Project/Area Number |
18770014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Ecology/Environment
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奥田 昇 Kyoto University, 生態学研究センター, 准教授 (30380281)
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Project Period (FY) |
2006 – 2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2006: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 食物網 / 安定同位体 / 琵琶湖 / 食物連鎖長 / 生態系 / 土地利用 / 懸濁態有機物 / 生物標本 / 富栄養化 / 人為的移入 |
Research Abstract |
琵琶湖生態系の食物網構造の時空間動態を把握し、その湖内変異をもたらす機構を解明するために、琵琶湖沿岸33地点において生物採集調査と生物試料の安定同位体分析を実施した。湖沼食物網の生産基盤となる懸濁態有機物(POM)の濃度と炭素・窒素安定同位体比を測定したところ、一次生産の大部分は植物プランクトンによって占められ、付着藻類の寄与は低いことが分かった。また、水田割合や人口密度が高い河川の沿岸部で陸起源有機物の寄与率が増加した。冬季になると、陸起源有機物の流入量は減少するが、波当たりの強い地域で陸起源有機物の寄与率が増加した。沿岸域に堆積した陸起源有機物が波浪によって再懸濁されることが示唆された。POMの質や量は湖沼食物網構造を規定する重要な要因となりうるが、集水域の土地利用形態や沿岸の物理特性によって季節的・局所的に大きく変化することが明らかとなった。次に、湖沼の食物連鎖長の時空間変異を調べるために高次消費者に位置するオオクチバスの栄養段階をその窒素同位体比から推定した。食物連鎖長は季節的に変動し、同一季節においても地点間で大きな変異を示した。食物連鎖長の地点間変異は動物プランクトン群集の平均栄養段階によって説明可能であった。動物プランクトン群集に占める肉食性カイアシ類の割合が高いほど、平均栄養段階が増加する有意な傾向を示した。一次生産性や魚類による捕食圧を環境変数として組み込んだ回帰モデルを解析したが、食物連鎖長に影響する有意な要因は見つからなかった。実験的操作が困難な野外において栄養関係を因果論的に論じることには限界があるため、室内実験によって食物網の変動機構を解析する必要性が示唆された。
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)