Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
著者はその立体構造とMLタンパク質の構造類似性から、ダニ主要アレルゲンDer f2が脂質様リガンドと結合する可能性を示唆してきた。本研究は、Der f2の脂質様リガンドを探索し、その複合体の構造解析を行なうことを目的としている。平成19年度は、1「Der f2の大量発現および精製」、2「Der f2のリガンド探索とNMRによる複合体の構造解析」、3「Der f2とリガンド複合体の結晶化とX線結晶解析」を行なった。1では、大腸菌による大量発現系を用いて、リガンド探索および構造解析に必要十分なタンパク量を得た。2では、Der f2が大腸菌表面と結合することから、Der f2と大腸菌JM109株破砕物との結合実験、ならびにDer f2とリポ多糖の結合実験を行なった。複合体の確認はゲルろ過クロマトグラフィーとNMRを用いた。Der f2と大腸菌破砕物との複合体の構造解析から、リガンドは糖脂質であり、腸内グラム陰性菌に共通の三糖の繰り返し(→4GlcNAcβ1→3Fuc4NAcαl→4ManNAcAβ1→)をもつことが示唆された。また、Der f2とリポ多糖との結合も確認された。Der f2のトリプトファン蛍光がリポ多糖との結合により消光することを利用して、結合定数を求めた結果、KdはμMのオーダーであることがわかった。3では、Der f2とlipid Aとの結晶化スクリーニングを行ない、得られた結晶を回折測定した。現在解析が進行中であるが、Der f2分子内に脂質の電子密度が見えている。本研究に必要な試薬類や器具類には消耗品費を用いた。
All 2007
All Presentation (2 results)