Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
申請者は以前、核内に存在する誘導性の転写調節因子IκB-ζを新規にクローニングし報告した。IκB-ζは、炎症性の刺激に応答して発現が誘導され、核内でNF-κBと相互作用してその標的遺伝子の発現を正に制御する。しかし、IκB-ζの誘導がNF-κBに依存するため、これまでNF-κBの阻害実験などによりIκB-ζを介した転写誘導の分子機構の詳細を検討することが困難であった。そこで本年度申請者は、IκB-ζを炎症性刺激とは独立に発現誘導する系を構築し、解析を進めた。亜鉛刺激に応答するプロモーターによるIκB-ζの誘導と、IκB-ζを誘導しない炎症性刺激であるTNF-αによる細胞の活性化は、いずれもそれだけではIκB-ζの標的遺伝子の誘導を惹起することはできないが、これらを組み合わせることにより誘導された。まず、タンパク質合成阻害剤を用いた実験により、IκB-ζの標的遺伝子の発現には新規タンパク質合成が必要であることが知られていたが、亜鉛刺激により予めIκB-ζの発現を誘導しておけば、TNF-α刺激の際に新規タンパク質の合成は不要であったので、標的遺伝子の発現誘導に必要な一次応答性の遺伝子はIκB-ζだけであることが判明した。また、この解析の過程で、タンパク質合成阻害剤が一次応答性遺伝子のmRNAの発現が増強されることがわかった。この分子機構は転写の増強ではなくmRNAの安定化であることを示し、論文として報告した。さらに、阻害因子やsiRNAの発現実験により、IκB-ζの標的遺伝子の発現誘導には、NF-κBのほか、炎症性転写因子であるC/EBPタンパク質も必要であることを示した。また、クロマチン免疫沈降実験により、IκB-ζは、NF-κBなどの炎症性転写調節因子が標的プロモーターに結合するのに必要であることを示した。
All 2008 2007 2006
All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 3 results)
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