Project/Area Number |
18770142
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Biophysics
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
井上 剛 National Institute for Physiological Sciences, 生体情報研究係, 助教 (40370134)
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Project Period (FY) |
2006 – 2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2006: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | 視床-大脳皮質 / 神経回路 / 同期発火 / フィードフォワード抑制 / シナプス統合 / シナプス配線 |
Research Abstract |
感覚入力(視覚・聴覚・体性感覚)は、一旦視床に集約し、その後大脳皮質へ運ばれる。視床における神経細胞群(視床リレー細胞)は、同期して発火することが知られている。この発火の同期性の機能的役割を明らかにするためには、視床からの同期出力が大脳皮質でどのように受け取られるか調べる必要がある。本課題では、視床と大脳皮質が連結したスライス標本を用いて、この問題に取り組んだ。 視床リレー細胞は、大脳皮質4層主要細胞であるregular-spiking cell(RS細胞)に直接興奮を与えるだけでなく、大脳皮質4層内のfast-spiking interneuron(FS細胞)を介しフィードフォワード抑制入力をRS細胞に与えることがこれまで知られていた。しかしながら、同期発火は複数の視床細胞で生じるものであるから、複数の視床細胞から大脳皮質4層細胞へのシナプス配線図の理解が必須である。平成18年度においてこの問題に取り組んだ結果、複数の視床リレー細胞があるRS細胞に収束性のシナプス結合を形成していた場合、その同じ投射線維がFS細胞にも収束性のシナプス結合を形成するという結合ルール(収束性フィードフォワード抑制回路)を見出した。 平成19年度では、この特徴的な抑制回路がどのように機能しているのか、スライスパッチクランプ記録にダイナミッククランプ法を組み合わせることによって取り組んだ。結果、FS細胞が脱分極状態にあると、視床からの入力が同期していた方がよりよく大脳皮質4層主要細胞(RS細胞)を興奮させることが分かった。しかしながら、同じ神経配線上でただFS細胞を静止膜電位付近に過分極させると、逆に視床からの入力タイミングがむしろずれた方がよりよくRS細胞を興奮させることが明らかとなった。これらの結果は、大脳皮質4層介在性抑制細胞であるFS細胞の膜電位に依存して、異なる同期タイミングの視床入力が大脳皮質へ伝播することを示唆している。
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