Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は,生細胞内の目的タンパク質にケミカル(低分子化合物)を導入し,それを利用して近傍の生体分子を同定するという新しい相互作用因子解析法を開発することであり,そのためにまずin vitro のモデル系で検討を行った.転写伸長因子HDAgに,Cys残基を介して光活性化型クロスリンカーAETを導入し, RNAポリメラーゼIIのHDAg結合表面の決定を試みた. RN AポリメラーゼIIは12個のサブユニットからなる.解析の結果,HDAgはRNAポリメラーゼIIのRpblサブユニットのN末端およびRpb2サブユニットのむ末端と特異的にクロスリンクされることが分かった.これらの領域はRNAポリメラーゼIIの立体構造の中でクランプと呼ばれるドメインに相当することから, HDAgはRNAポリメラーゼIIのクランプに結合すると考えられ,転写伸長因子の作用を理解する上で重要な知見が得られた(Yamaguchiら2007). 引き続いてin vivo の検討を行なったが,技術的な困難に直面し,期間内に有意義な成果を挙げることができなかった.そこで,これと平行して進めた研究の成果を代わりに報告する.アトラジンは世界で最も多く使われる除草剤の1つだが,植物だけでなく動物に対しても生殖器系などに悪影響を及ぼすことが指摘されている.アトラジンのこうした作用の分子機構を理解するため,アフィニティクロマトグラフィーの手法によりアトラジン結合タンパク質を探索したところ,ミトコンドリアのFIFO-ATP合成酵素が同定された.アトラジンは精子の運動性低下を引き起こすことが知られていたので,それについて調べたところ,アトラジンはFIFO-ATP合成酵素を阻害し,細胞内のATPプールを減少させることで,精子の運動性低下を引き起こすことは判明した(Haseら2008)
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