Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
ケイ酸はイネ科作物の耐乾性を高める効果をもつ.本研究では,土壌ケイ酸を溶出させる植物の機能を利用して,経済的に施肥が困難な地域でも土壌ケイ酸濃度を高め,作物の耐乾性を向上させる方法論を確立することを目的とした.20種程度の植物を水耕栽培し,その水耕液の土壌ケイ酸溶出特性を調査した初年度の研究では,ケイ酸溶出量が植物種に関わらず,水耕液(根圏)のpHの低さに依存することを見出し,同様の傾向を土耕栽培でも認めた.またイネ科植物では根圏pHに関わらず土壌溶液中ケイ酸濃度が低かったことから,根圏pHを低下させるがケイ酸を吸収しない植物の利用が有用であると考えられた.また,各植物種の個根のプロトン放出量と水耕液pH低下程度には相関が認められず,ケイ酸溶出程度には根量が影響を及ぼすと考えられた.二年度目には,各種植物と混作した場合に陸稲のケイ酸濃度がどのような影響を受けるかを調査した.その際,混作植物との水分競合により陸稲のケイ酸吸収が影響を受ける可能性が考えられたため,別途,陸稲を異なるケイ酸施肥量と灌水量の組み合わせ下で栽培し,そのケイ酸吸収に対する土壌水分量の影響を調査・理論化するための実験を行った.年度途中での移動に伴って研究が中断したことにより,いずれの実験でも陸稲のケイ酸濃度の分析を完了できず,混作や土壌水分量が陸稲のケイ酸濃度に及ぼす影響を明らかにするに至らなかった.しかし土壌水分量の低下に伴ってケイ酸施肥量が陸稲のクチクラ蒸散に及ぼす影響が大きくなる傾向が得られたことから,混作の影響を検討する際には,混作植物との水分競合の程度に注意を払う必要があることが示唆された.なお,両実験とも陸稲地上部は採取済みであり,今後ケイ酸濃度に関する分析を行いたい.
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