根粒菌の多剤排出トランスポーターによる環境適応機構の解析
Project/Area Number |
18780043
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Plant nutrition/Soil science
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
江田 志磨 Tohoku University, 大学院・生命科学研究科, 助教 (50420005)
|
Project Period (FY) |
2006 – 2007
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
|
Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2006: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
|
Keywords | 根粒菌 / 多剤耐性 / トランスポーター / 多糖分泌 / 根圏 |
Research Abstract |
平成18年度の研究により、アルファルファ根粒菌の多剤排出トランスポーター蛋白質TolCが本菌の抗菌物質耐性に関与することが明らかとなった。そこで本年度は、植物が産生する抗菌物質に耐性を持つことが根圏への定着に有利に機能しているかを明らかにするため、tolC遺伝子を破壊した根粒菌株と野生株を用いた接種実験を行った。その結果、tolC遺伝子破壊株接種区では形成される根粒数が著しく低下するだけでなく、形成した根粒に色や形状の異常が認められた。このことは抗菌物質耐性が宿主植物の防御機構を回避するうえで重要な機能を果たしている可能性を示唆する。さらに、TolC蛋白質の機能をさらに詳しく解析したところ、TolCは抗菌物質の排出だけでなく、I型分泌装置と協調して菌体外多糖の合成に関わる酵素の分泌も行っていることが明らかとなった。根粒菌の菌体外多糖は宿主植物の抗菌物質合成を抑制する作用を持つと報告されており、また実際にtolC遺伝子破壊株を接種したアルファルファの根では抗菌物質(フェノール化合物)が蓄積していたことから、根粒菌は抗菌物質への耐性獲得と抗菌物質産生抑制の二つの機構により植物根周辺の環境に適応していると考えられる。tolC遺伝子と相同性を持つ遺伝子が多くの植物関連細菌のゲノムに見つかっている。よって、本研究により得られた成果は、植物と相互作用する細菌に共通する環境適応機構の解明に貢献すると思われる。
|
Report
(2 results)
Research Products
(3 results)