Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
必須アミノ酸トリプトファンの代謝産物キヌレン酸は脳内でニコチン作動性α7アセチルコリン受容体を介して,神経伝達物質ドーパミン放出を抑制する。食事を介して脳内のキヌレン酸濃度を調節するができれば,ドーパミン分泌を調節でき,パーキンソン病や統合失調症などの神経疾患を改善できる可能性がある。 本年度は,トリプトファン摂取がラット脳におけるキヌレン酸およびドーパミンの代謝変動におよぼす影響について検討した。ラットにトリプトファンを0.2%(対照食),0.6%あるいは1.6%含む食餌を与えて7日間飼育し,脳内のキヌレン酸前駆体キヌレニンとキヌレン酸の濃度,およびドーパミン代謝回転を測定した。脳内のキヌレン酸濃度は,大脳,線条体,海馬のいずれの部位においても,トリプトファン摂取量依存的に増大した。脳,肝臓,血漿のキヌレニン濃度もトリプトファン摂取量依存的に増大した。一方,ドーパミン代謝回転はトリプトファン摂取量依存的に低下したロ以上の結果から,大量に摂取したトリプトファンは肝臓でキヌレニンに代謝され,血液を介してキヌレニンを取込んだ脳はより多くのキヌレン酸を産生し,キヌレン酸がニコチン作動性α7アセチルコリン受容体を介して神経伝達物質ドーパミン放出を抑制した機構が考えられた。これらの結果は,高トリプトファン食は脳内のキヌレン酸産生とドーパミン代謝回転に影響をおよぼすことを明らかに示している。また,食事を介して脳内のキヌレン酸産生を調節することは神経疾患の改善に有効な方法となる可能性が示された。
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