Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2006: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Research Abstract |
パラポックスウイルス(PPV)は,同じ種類のPPVがウシ,ヒツジ,ヤギ,ニホンカモシカに感染するが,症状はウシで軽く,ヒツジ,ヤギで中等度,ニホンカモシカでは重症となることが多い。本研究では,PPVがコードする血管内皮増殖因子(VEGF)の生物学的活性解析を行い,動物種差と病原性差の関係を明らかにする。本年度は,前年度の成果をもとにさらに発展,かつ詳細な解析を行い以下の成果を得た。 アミノ酸配列が異なるVEGFをゲノム内に持つPPV3株をウシ,ヒツジ,ニホンカモシカの細胞に感染させ,VEGF mRNAの発現をRT-PCRにより経時的に比較した。アミノ酸配列の違いに関わらず,mRNA発現のタイミングは3株ともそれぞれの細胞で大きな差がないことを明らかにした。 次に3種類のVEGFを組換え蛋白として大腸菌で発現させた。モルモットの皮内注射で,組換えVEGFの濃度に依存し血管の透過性が亢進した。しかし3種類のVEGF間では透過性亢進能に大きな差は認められなかった。またヒト臍帯静脈内皮細胞に対する増殖促進活性が3種類とも認められたが,その効果にも大きな差がなかった。 ウシ,ヒツジ,ヤギ,ニホンカモシカの腹腔大動脈から無菌的に血管内皮細胞を分離,培養する方法の確立に成功した。ただし,わずかに混入する内皮細胞以外の細胞の除去が解決すべき課題として残っている。 以上より,国内で分離したPPVがコードしているVEGFは,アミノ酸配列が異なるにも関わらず,同程度の生物学的活性を有していることを明らかにした。また、ウイルス由来VEGFがPPV感染症の病原性に関与していることが示唆された。さらに,動物種差による病原性の差は,ウイルス側の要因よりも,宿主側に起因する可能性が示唆された。
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