Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本年度は、以下の二点について、解析を行った。1親電子性物質によるASMasm発現誘導に関与する転写因子の同定前年度の研究より、親電子性物質によるASMaseの発現誘導に、これまで発現制御の報告がないシス配列(CRE1)が関与することを明らかにした。CRE1は、様々な抗酸化酵素や解毒代謝酵素の発現を制御している転写因子Nrf2(NF-E2 related factor 2)の結合配列と類似していたことから、Nrf2の関与について検討した。その結果、細胞にNrf2を強制発現することにより、親電子性物質によるASMaseの発現誘導は充進し、逆にsiRNAを用いてNrf2の発現を抑制することにより、ASMaseの発現は抑制された。さらにNrf2が直接CRE1に結合するのかをEMSAにより検討した結果、実際にNrf2がCRE1に結合することが証明された。以上の結果から、親電子性物質によるASMaseの発現誘導にはNrf2のCRE1への結合が関与していることが明らかとなった。これまでNrf2が、ASMaseのような脂質代謝酵素の発現を制御しているとの報告はなく、本研究で得られた成果はNrf2の新規の機能として非常に興味深い発見と考えられる。2.発現誘導されるASMaseの生理的意義の解明発現誘導されたASMaseは、脂質メディエーターであるセラミドを生成し、種々の細胞応答を引き起こすことが予想される。そこで発現誘導されるASMaseの生理的意義を明らかにするために、ASMase特異的阻害剤およびsiRNAを用いた解析により、親電子性物質による細胞死誘導に与える影響について検討した。その結果、阻害剤およびsiRNA処理は、親電子性物質により誘導される細胞死を部分的に抑制した。さらに細胞死への詳細な解析を行ったところ、細胞死の中でも特にアポトーシスを抑制することが示された。
All 2008 2007
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