Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
プラスミンは、前駆体であるプラスミノゲンがプラスミノゲンアクチベーター(PA)によって活性化された線溶系酵素であり、肝障害後の再生・再構築に重要な役割を果たしている。しかしながら、その詳細な細胞内メカニズムについては未だ検討されていない。我々はこれまでに、初代培養肝細胞において、プラスミンがERK1/2経路を活性化し、さらにアポトーシス促進性タンパク質Bimのプロテアソームによる分解を促進することを明らかにした。本年度は、肝細胞における組織性プラスミノゲンアクチベーター(t-PA)の役割を中心に検討した。PAインヒビターであるPAI-1を欠損したマウス(PAI-1KO)から採取した肝細胞では、野生型マウス由来肝細胞と比較し、増殖能が有意に亢進した。さらに低酸素傷害後の増殖能もPAI-1KO由来肝細胞において有意に亢進した。次に、培養上清中のPA活性を測定したところ、PAI-1KO由来肝細胞の培養上清中にのみ著明なt-PA活性が見られ、さらにPAI-1KO由来肝細胞における増殖能亢進は、t-PA阻害薬であるtPA-STOPにより有意に抑制された。また、t-PA刺激は肝細胞の増殖能を亢進し、濃度依存的にERK1/2のリン酸化を誘起したが、Aktのリン酸化を誘起しなかった。以上より、肝細胞においてt-PAがERK1/2経路を活性化し、増殖能を亢進する可能性が示唆された。これまで、プラスミノゲン遺伝子欠損マウスを用いた肝傷害後のBim発現量の検討では計画通りの結果が得られていないが、今後、肝細胞膜表面においてt-PA受容体として働いている分子を同定し、さらにt-PAの抗アポトーシス作用について検討する予定である。
All 2008 2007
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Biochim Biophys Acta. 1773
Pages: 718-727
近畿大学ライフサイエンス研究報告 (In press)
TTMフォーラム記録 6巻(In press)