Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
肝発癌におけるp53誘導性Siah-1Lによるβカテニン制御機構の果たす役割を検討するために、以下の解析を行った。まずヒトSiah-1LのマウスホモログであるSiah-1bのコンディショナルノックアウトマウスを作成するために、以前に作成しておいたSiah-1b発現ベクターより、Siah-1bゲノム配列を制限酵素により切り出した。その切り出したSiah-1b配列にPCR法を用いてLoxP配列を付加した上でノックアウトマウス用のターゲットベクターに組み込みをおこなった。現在このターゲットベクターをマウスES細胞への組み込み中である。また同時に臨床検体であるヒト肝臓癌組織15例においてSiah-1L、Siah-1の発現をReal-Time PCRを用いて検討した。また同様の組織を用いてp53の発現も免疫染色において検討した。これらの結果、p53誘導性ではないSiah-1においてはp53との染色結果に一定の傾向は認められなかった。しかしながらp53誘導性のSiah-1Lの発現は明らかな優位差はみられないもののp53の強く染まるような癌組織においては発現が低い傾向にあった。またこれら組織のうち6例においてp53ゲノムのDNA結合領域のシークエンスを確認した。その結果、Siah-1の発現はp53ゲノムの変異との間に一定の傾向が見られなかったが、Siah-1Lの発現はp53ゲノム変異が少ない症例において高く認められる傾向があった。