Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
アテローム硬化性プラーク形成と炎症性細胞の末梢組織への動員及び組織内浸潤との関連性の解明、そしてこれを基礎とした動脈硬化性病変の制御法の開発を主目的として、平成18年度は造血幹細胞によるアテロームプラーク形成促進機構に関して検討を行った。高脂肪食摂取により自然発症的にアテローム性動脈硬化部位を発症するアポリポプロテインE(ApoE)遺伝子欠損マウスを用い、16週間高脂肪食を与え動脈硬化を進行させた。その間、二週おきに眼底採血を行い、末梢血中の単核球について細胞数、白血球分画を算定し、フローサイトメトリーを用いて血管新生因子受容体を含む細胞表面抗原を調べた。また、各種前駆細胞の末梢血中への動員状況についても評価し、大動脈組織を摘出して病理組織標本を作製した。加えてELISAにより血清中の血管内皮増殖因子(VEGF)をはじめとする血管新生因子やサイトカインの血中濃度を測定し、細胞動員と動脈硬化性病変の進行との相関関係を精査した。病理組織標本については各種免疫組織染色を行い、浸潤している細胞の性状、種類、産生サイトカイン等について解析を行った。その結果、定常状態のApoE遺伝子欠損マウスでは末梢血中に白血球が野生型の1.3倍存在していた。さらに将来マクロファージに分化するCFU-Mが高脂肪食摂取;期間に連動して血中に多く動員されていた。一方、高脂肪食を摂取したマウスの大動脈組織の病理学的所見から、ApoE遺伝子欠損マウスで動脈硬化病変が数多く見られ、細胞動員と動脈硬化病変の進行に相関があることが示唆された。さらに、血清中のVEGF濃度を測定したところ、野生型に比べApoE遺伝子欠損マウスでは高い傾向にあり、骨髄由来の炎症性細胞やその前駆細胞が動脈硬化病変の進展に伴い末梢血中へと動員され、組織に浸潤しプラーク形成を促進することが示唆された。
All 2007 2006
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