Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
私たちは、プロスタシンの高血圧、組織障害に関する研究を続けているが、以前プロスタシンが腎尿細管に存在する上皮型Naチャネル、ENaCを活性化し、血圧調節に関与する可能性を報告した。一方、腎臓において一酸化窒素NOは、Na排泄を増加させることが報告されている。今回マウス皮質集合尿細管細胞においてNOとプロスタシンの関係を検討したところ、NOがプロスタシンmRNA及び蛋白の発現を強く抑制することが示された。このマウス皮質集合尿細管細胞において、cGMPアナログはプロスタシンの発現に影響を与えず、またグアニル酸シクラーゼ阻害薬はNOによるプロスタシンの発現抑制を阻害しなかったため、NOによるプロスタシンの発現抑制はcGMPを介さない経路によるものであることが判明した。一方、NFκB阻害薬CAPEは、NOと同様にNFκBの核移行を阻害し、プロスタシンの発現を抑制したことより、NOによるプロスタシンの発現抑制は、NFκBのニトロ化によるNFκBの核移行阻害による可能性が示唆された。炎症組織やその他の病理条件下において、NOは組織傷害、線維化のメディエーターであり、そのメカニズムとしてスーパーオキサイドとの反応による窒素酸化物やペルオキシナイトライトの生成が有名であるが、一方でプロスタシンが線維化の調節に関与することが示されており、今回のNOによるプロスタシンの発現調節は、NOによる線維化調節機構の一翼を担う可能性があると考えられ、現在研究を進めている。
All 2007 2006
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Kidney International Vol. 70
Pages: 1432-1438
American Journal of Kidney Disease Vol48 no1
Pages: 151-154