新規脂肪酸伸長酵素の生体内における機能ならびに病態への関与
Project/Area Number |
18790610
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Metabolomics
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松坂 賢 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 助教 (70400679)
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Project Period (FY) |
2006 – 2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2006: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 脂肪酸組成 / 肥満 / インスリン抵抗性 / 肝臓 / インスリン感受性 / エネルギー代謝 / 脳 |
Research Abstract |
脂肪酸伸長酵素Elov16はn-9およびn-7系の炭素数12-16の飽和および一価不飽和脂肪酸の鎖長伸長をつかさどり、炭素数18以上の長鎖脂肪酸の合成に重要である。Elov16の生体内での酵素作用や生理的役割を解明するためにElov16ノックアウト(KO)マウスを作製し、解析した。その結果、生体内においても本酵素が炭素数16から18への鎖長伸長(パルミチン酸(C16:0)からステアリン酸(C18:0)、パルミトオレイン酸(C16:1n-7)からバクセン酸(C18:1n-7)を担うことが確認され,またこれに伴い炭素数16以下の脂肪酸の増加、炭素数18以上の脂肪酸の減少、不飽和/飽和脂肪酸比(C16:1/C16:0)の増加など、種々の興味深い脂肪酸組成の変化を認めた。さらにElovl6KOマウスはエネルギー代謝関連遺伝子発現が変化し,高脂肪食負荷や肥満モデルob/obマウスとの交配により野生型マウスと同様に肥満、脂肪肝を示すが、野生型マウスに比べて耐糖能異常・インスリン抵抗性を惹起しにくく、生活習慣病病態の改善が認められた。このとき脂肪酸組成の変動が最も顕著な臓器であった肝臓では、SREBP-1c 発現が抑制され、主要なインスリンシグナルメディエーターであるIRS-2の発現増加とプロテインキナーゼCεの抑制がおこり、結果としてAktシグナルが充進し、インスリン感受性が維持された。したがってこのマウスのエネルギー代謝解析により、Elov16 の変動による脂肪酸組成の変化がエネルギー代謝遺伝子発現の重要な決定因子であり、生活習慣病発症のカギを握ることが示された。すなわち、肝臓の脂肪酸組成は、細胞のエネルギーバランスとは関係なく作用する新たなインスリン感受性決定因子であると考えられ、その制御は新たな生活習慣病治療法となる可能性がある。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)