Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
H19年度は、CD20抗体療法によるB細胞除去において、抑制性受容体であるFcγRIIBが果たす役割について検討した。1)FcγRIIBのB細胞除去における役割FcγRIIB欠損マウスにおいて、IgG1、IgG2a/c、IgG2bクラスの抗CD20抗体は、野生型マウスと比べ末梢血、骨髄におけるB細胞除去能は変わらなかった。しかし、IgG1クラスの抗CD20抗体を高用量投与すると、脾臓でのB細胞除去能は亢進していた。さらに、いずれのクラスの抗体も末梢リンパ節におけるB細胞除去能は亢進していた。従って、FcγRIIBは抗CD20抗体によるB細胞除去において抑制的に働いていることが示唆された。2)マクロファージ上のFcγRIIBとB細胞上のFcγRIIBの機能の相違次に、マクロファージとB細胞に発現しているFcγRIIBのどちらがB細胞除去に抑制的に働いているか検討した。野生型マウスとFcγRIIB欠損マウスの脾臓からB細胞を単離し、CFSEで標識してレシピエントマウスに移入し、IgG2a/cクラスの抗CD20抗体を投与したところ、FcγRIIB欠損マウス由来B細胞は、野生型マウス由来B細胞より除去されにくかった。従って、FcγRIIB欠損マウスでB細胞除去能が亢進していたのは、マクロファージ上のFcγRIIBが欠損することにより抗体依存性組織障害機構が亢進したことによるものと考えられた。これらの結果は、抗CD20抗体療法の奏功率を改善させる際に、B細胞上のFcγRIIBではなくマクロファージ上のFcγRIIB発現を低下させた方がよい可能性を示しており、臨床に応用する上でも重要な知見と考えられる。