悪性胸膜中皮腫の細胞生物学的解析と新規治療戦略の開発
Project/Area Number |
18790991
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Thoracic surgery
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宇佐美 範恭 Nagoya University, 医学部・附属病院, 助教 (30378179)
|
Project Period (FY) |
2006 – 2007
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
|
Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
|
Keywords | 癌 / シグナル伝達 / 外科 / 胸膜中皮腫 / アスベスト |
Research Abstract |
1.H18年度の研究において臨床検体から胸膜中皮腫細胞株を樹立し、さらに複数の胸膜中皮腫細胞株において癌遺伝子および癌抑制遺伝子の変異について検討した。その結果、癌遺伝子の変異については検索したKRAS、NRAS、BRAF、EGFR、HER2では明らかな遺伝子変異を認めなかったが、ほぼすべての細胞異株で癌抑制遺伝子の候補であるp16 INK4A遺伝子領域にホモザイガス欠失を発見した。今後、この遺伝子の機能回復を誘導するようなシグナル伝達系を検討することが、胸膜中皮腫の発症メカニズムを明らかにし、さらに治療に結びつく可能性が示唆された。 2.cDNAマイクロアレーによる発現解析により、組織型の異なる細胞株、Y-MESO-8A(上皮型)とY-MESO-8D(肉腫型)の発現パターンを比較した結果、その発現量が5倍以上異なる43遺伝子を同定することができた。日常臨床でも上皮型と肉腫型では抗癌剤による感受性の異なる経過をしばしば経験するが、今回発見された遺伝子発現の変化がその治療効果の差に起因する因果関係に関連している可能性が考えられた。将来的に組織型別に治療が個別化される際、今回検討した遺伝子発現パターンが治療法決定の上で重要となる可能性がある。 3.手術により切除された胸膜中皮腫の腫瘍内および肺内アスベスト濃度とアスベストの種類について電子顕微鏡にて検索を行った。その結果、腫瘍部分にはアスベストはほとんど含まれていないことが認められた。また、肺内アスベスト濃度の検討により、アスベスト高濃度暴露の可能性が小さくても中皮腫を発症するケースを確認した。一方、別の症例では発症リスクが高いと言われている青石綿を多数認めた。今後、さらに検討を進めてアスベストと中皮腫の因果関係を明らかにしたい。
|
Report
(2 results)
Research Products
(5 results)