Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
平成18年度の実験において、Convection-enhanced delivery(CED)法によってラット脳腫瘍を取り囲むような広範な抗腫瘍薬剤(ACNU、Doxil)の分布が得られたが、腫瘍内における投与薬剤の空間的な不均一が問題点として挙げられた。そのため我々は、これを補う目的での全身化学療法(temozolomideを投与薬剤として使用)の併用について検討し、その有用性を明らかと報告してきた。本年度は同様の目的で抗腫瘍薬剤のCED法による投与と放射線療法併用の有用性を検討した。方法:[CED法]reflux-free infusion cannulaを用いた注入システムにより施行した。[毒性試験]Sprague-Dawleyラットを用いて併用療法による正常脳における組織学的毒性を評価した。[生存解析]ラット9L脳腫瘍モデルあるいはラットu87MG脳腫瘍モデルを作成し、生存試験を行った(対照群、放射線治療群、ACNUのCED法による投与群あるいはDoxilのCED法による投与群、および併用療法群)。Kaplan-Meiyer曲線を作成、log-rank検定を行い、治療効果を比較検討した。結果:毒性試験において、放射線治療併用による脳組織毒性の増強は軽微であった。生存解析において、併用療法群はそれぞれの単独治療群に比べ生存率が有意に延長した。結論:抗腫瘍薬剤のCED法による投与と放射線療法との併用療法の有用性が示された。これらは集学的な悪性神経膠腫治療において一つの戦略となることが示唆された。
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J Neurooncol 82
Pages: 41-47
J Neurooncol 82(1)
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