Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
高齢者におけるびまん性白質病変が、高次脳機能障害(認知症)などの原因になることが知られている。その機序の一つとしては慢性脳虚血が関与していることがいわれており、その傷害の主体は神経細胞そのものというよりは稀突起膠細胞と考えられている。また、虚血以外にも酸化ストレス、特に加齢に伴う慢性的な酸化ストレスが関与している可能性も考えられる。我々は既に加齢に伴う慢性酸化ストレスによりneurogenesisが抑制され、さらにSOD-1overxpression transgenic mouseにおいてneurogenesisに対する保護効果があることを報告している。そこで、この生体内で強力な抗酸化作用を示すSuperoxiside dismutase(SOD)の大脳白質における、特に軸索保護に関与している稀突起細胞に対する効果に着目し、慢性酸化ストレスにおける稀突起膠細胞の動態ついて検討し、びまん性白質病変に対する新たな治療開発への足がかりになることを目指した。加齢に伴う慢性酸化ストレスに対するSOD-1の保護効果の検討として、若年および老齢マウスにて、稀突起膠細胞の新生をTgおよびWtの比較すると有為な差は得られなかった。そこで、若年マウスにて慢性脳虚血モデルを作製し、oligogenesis の変化を見ると、SOD-1Tgマウスにてoligogenesisの増加がWtに比し有為に増加していることがわかった。今後、PDGF、FGFの発現およびCREB発現について検討を行う予定である。