Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
p53遺伝子は骨肉腫においても高率に不活性化しているきわめて重要な癌抑制遺伝子であるが,p53下流遺伝子の発現をp53遺伝子非依存的に調節できれば,p53遺伝子の不活性化を有する骨肉腫細胞に対しても強力な抗腫瘍効果を発揮することが可能である。本研究の目的,p53下流遺伝子を標的分子とした導入効率の高い天然成分を用いて,腫瘍組織選択的に強力な増殖抑制効果および殺細胞作用を有する新しい骨肉腫治療戦略を確立することである。前年度の実験では,ブロッコリーなどに含まれるイソチオシアネート類の化合物であるsulforaphane(SFN)が,p53下流遺伝子であるDR5(Death Receptor5)を誘導し,SFNとDR5のリガンドであるTRAIL(TNF-Related Apoptosis-Inducing Ligand)との併用で,骨肉腫細胞選択的かつ相乗的に著明なアポトーシスを誘導することをin vitroで証明した。本年度の実験結果では,SFNはマウス骨肉腫細胞に対して,細胞増殖を抑制し,細胞周期停止とアポトーシスを誘導した。さらにヌードマウスを用いた実験では,SFN投与群の腫瘍体積は対照群に比べて有意に減少した。現在,in viroにおいてSFNによるp53下流遺伝子の発現の確認,安全性の確認,原発巣および転移巣に対する抗腫瘍効果の検討を行っている。また他の実験では,天然成分のスクリーニングの結果,シダ植物から抽出した化合物cryptolepineがp53下流遺伝子であるp21遺伝子の発現をp53非依存的に誘導することを明らかとし,p21の転写調節機構について検討した。本研究の結果から,上記化合物がp53の失活により治療に抵抗性となった骨肉腫に対して,今後新規の分子標的治療薬となる可能性があると考えた。
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